解像度を上げる(OCR抽出版)
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表紙
解像度を上げる 曖昧な思考を明晰にする「深さ・広さ・構造・時間」の4視点と行動法
馬田隆明
英治出版
10万部突破
「ふわっとしている」「既視感がある」「ピンとこない」 誰かにそう言われたら。言いたくなったら。
構造図
flowchart TD
A["解像度を上げる"]
A --> B["型18"]
B --> C["解像度が低い"]
C --> D["ユーザーインタビューの基本"]
D --> E["☑ 話がばらばらで、論理の飛躍がある"]
E --> F["「構造」の視点で解像度を上げる型"]
style F fill:#c05746,color:#fff,stroke:none
はじめに(p.4-5)
「提案をつくってみたが、大事な何かが抜けている気がしていて、モヤモヤが晴れない」
「この人の話は地に足がついていなくて、ふわふわしている」
「言いたいことは分かるけれど、説得力が弱いように感じる」
仕事をする中で、こんな経験をしたことはないでしょうか。こんな経験をした中で、「解像度が低い」と言われることもあるでしょう。
優れた起業家が見ている世界
しばしばこうした思考の状態のことを「解像度が低い」と表現します。
世界がぼやけて見えたりするような感覚、とも表現できるでしょうか。逆に、明瞭な思考ができている状態のことを「解像度が高い」と表現します。
筆者は10年近く起業家支援を行ってきましたが、これまで接してきた中で優秀だと思える起業家はまさに「解像度が高い」人たちでした。彼ら彼女らに取り組んでいる領域のことを聞くと、明確かつ簡潔で分かりやすい答えが返ってきます。
解像度が高い人 vs 低い人(p.6)
解像度が高い
- ☑ 顧客像がはっきりと見える
- ☑ 話が明確かつ簡潔
- ☑ 例が具体的
- ☑ 多くの事例を知っている
- ☑ 様々な可能性を考慮している
- ☑ 洞察がユニーク
- ☑ これからやることの布石が明確
解像度が低い
- ☑ 顧客像がぼんやりしている
- ☑ 話を聞いていると、疑問が湧いてくる
- ☑ 具体性がなく、ふわっとしている
- ☑ 競合や事例を知らない
- ☑ 解決策が安易
- ☑ 話がばらばらで、論理の飛躍がある
- ☑ 進め方の見通しがない
解像度が低いときの症状(p.7)
一方、まだ何かを始めたばかりの起業志望者の答えは、残念ながら往々にして曖昧な——解像度が低い——ことが多いです。「学生が進路を考えるときに必要な情報を届ける」。このアイデアだけでは、情報はあるのに届いていないだけなのか、そもそも本当に学生は十分な情報を持っていないのだしょうか。
こういった情報が足りないでしょうか。そそも情報自体が存在しないのか、足りていないのだとしたら、いったいどんなAIを作るのか。AIを使って一人一人にあったレコメンデーションを作りたいです」といった疑問が次々と湧いてきます。
まだ解像度の低い起業志望者からは具体的な答えが返ってきません。質問に対する答えに微妙なずれがあったり、要領を得なかったり、まだ解像度の低い起業志望者からは具体的な答えが返ってきません。
深さの視点(p.25)
深さの視点とは、原因や要因、方法を細かく具体的に掘り下げることです。
先ほどの例で言えば、筋肉の大まかな位置だけではなく、種類までちゃんと特定できていて、それぞれがどのような特徴を持つのかまで把握できている状態です。
深さの視点
原因や要因、方法を細かく具体的に掘り下げる。
[ツリー図: 深さ → 階層的に分岐していく構造]
広さの視点(p.25)
広さの視点とは、考慮する原因や要因、アプローチの多様性を確保することです。
先ほどの例で言えば、単に筋トレを提案するだけではなく、食事や休息へのアドバイスも含まれています。それ以外にも、トレーニングギアの選定といった、直接的にトレーニングに関わること以外の要素も含んだ広い視点で検討することもできるでしょう。
課題を考えるときも何が根本的な問題であるかが分かりません(p.30)
深さがなければ、課題を考えるときも何が根本的な問題であるかが分かりません。
たとえば「売上が下がっている」という課題を考えるときには、顧客数が減っているのか、単価が下がっているのか、顧客あたりの購入頻度が下がっているのか、などの課題の原因の深掘りが必要です。つまり、見えているものの奥にある原因や可能性を深く掘り下げて把握することで、解像度を上げることができるのです。
基本的には「深さ」が足りない(p.45)
「深さ」「広さ」「構造」「時間」は、どれか一つに、集中的に取り組めばよいわけではありません。4つが相互に影響しあって、解像度は上がっていきます。
現場に何度も足を運んで、「深さ」を考えるための情報をたくさん得たとします。しかし一定以上深めていこうとすると、現場で起こっている現象の「構造」を分析する必要が出てきます。物事を多く知っていて、十分な視野の「広さ」を持っている場合でも、どの部分を深めていくかの判断をするときには、「構造」や「時間」の分析が必要になります。
一方で「構造」の分析だけをして、情報を綺麗にまとめているだけでは、一定以上の「深さ」や「広さ」には辿り着けません。「深さ」「広さ」「構造」「時間」のどれかが足りずアンバランスだと、解像度は上がらないということです。
インタビューをする(内化)(p.150)
ここで、事実上アメリカの敗北に終わったことにちなんで、こうした状態を「マクナマラの誤謬」(「定量化の誤謬」)と呼びます。
データサイエンティストやデータ分析に強い研究者でない限り、定性的な情報に触れることをお勧めします。新規ビジネスの場合は、そもそも自社にデータがなかったり、あったとしても少ない場合が多く、新しい市場で第三者機関によるレポートやデータもないことがあります。そんなときに定性的な情報を得るためのコストパフォーマンスの良い手法が、インタビューです。
インタビューは最もコストパフォーマンスが良く、様々な職種で使える解像度を上げる行動です。あなたがその時点で持っている(言語化している)課題の仮説について、人に話を聞くことで、新たな情報が得られたり、思考が促されたりして、深さレベル3〜5に至ることができます。
たとえば製品のアイデアを考えるときには、顧客インタビューをすることで、顧客が普段どんな行動をしていて、どんな課題を持っているかを深く知ることができます。
プロセスを見ていくと、解像度を上げることができる(p.300)
プロセスやステップを見る
時間の流れに従って何が起こるかを把握することで、見えてくるものがあります。物事をステップごとに分割し、解像度を上げることができるのです。
物流や製造工程は分かりやすいプロセスです。物流は、地点間での物の動きのプロセスとして理解できます。製造工程は、工場に資材が入って加工されて最終的な製品となるプロセスです。農作物の生産は、...
未来を描くために必要な「分析」と「意思」(p.400)
ではその理想の未来について、どのように解像度を上げていけば良いのでしょうか。本書の最後は「目指したい未来像についての解像度の上げ方」を考えて締めくくりたいと思います。
未来を描くために必要な「分析」と「意思」
理想の未来の解像度を上げるためには、まずある程度高い解像度で未来を予測する必要があります。これには課題や解決策の解像度を上げるときと同じく、情報×思考×行動の3つが重要です。
まず情報と思考です。情報があれば、少しの思考だけで分かる未来もあります。人口構造はその一例です。将来の生産年齢人口は、現在の出生数という情報があれば、ほぼ分かります。20年後に成人を迎える人口は、今年生まれた新生児の数だからです。同様に20年後に退職して老人の数も、もちろん移民など、考慮すべき変動要素はありますが、そこまで多くは変わらないでしょう。
解像度を上げる型一覧(p.420より抜粋)
「広さ」の視点で解像度を上げる型
- 型18: 人と話す
- 型19: あらためて深める場所を決める
▽ここからは、特に解決策の解像度を上げるときに有効
- 型20: 使える道具を増やす
- 型21: 外部資源を獲得する前提で広げる
- 「人やお金は『今はない』だけと考える」
- 型22: 探索に資源を割り当てる
- 型23: 解決策の真の意味を考える
「構造」の視点で解像度を上げる型
- 型24: 分ける
- 切り口を工夫する
- 具体的な行動や解決策が見えるまで分ける
- 型25: 比べる
- 抽象度を合わせる
本書の全体構造図(p.350)
解像度を
上げる
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なぜ解像度が 解像度とは どうやって解像度を
大事か(Why) 何か(What) 上げるか(How)
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深さ 広さ 構造 時間 │
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態度 課題 解決策
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まず 粘り強く 型を 深 広 構 時 深 広 構 時
行動する 取り組む 意識 さ さ 造 間 さ さ 造 間
する │ │
型1 型2 …… ……
参考文献(p.200より一部抜粋)
- Rob Fitzpatrick "The Mom Test: How to talk to customers and learn if your business is a good idea when everyone is lying to you" (CreateSpace Independent Publishing Platform, 2013)
- 「ユーザーインタビューの基本」(Startup School 2019 #02)(FoundX Review, 2019年10月2日)
- シンディ・アルバレス『リーン顧客開発——「売れないリスク」を極小化する技術』(堤孝志、飯野将人監訳、児島修訳、オライリー・ジャパン、2015)
- クレイトン・M・クリステンセン、タディー・ホール、カレン・ディロン、デイビッド・S・ダンカン『ジョブ理論——イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム』(依田光江訳、ハーパーコリンズ・ジャパン、2017)
関連ノート
- [[解像度を上げる]] - 要約版
- [[思考法]]
- [[問題解決]]